IDEMITSU IHATOVE TRIAL

イーハトーブ新聞

イーハトーブ新聞 2003 vol. 3
出光イーハトーブトライアル大会通信

社長夫人からの嬉しい手紙戻る

 大会が終わって一週間ほどしたある日、ポストに小山田商店の厚い封筒が入ってました。中を見ると勇子さんの手紙のほかにもう一つの封筒が入っていて、その中に追っかけさんの嬉しい手紙が入っていました。地元の方々がどんな思いでイーハトーブトライアルを見ているのかが良く分かる手紙なので、参加者のみなさんにもぜひ読んでもらいたいと思い、ご本人たちのお許しを得てご紹介します。(万澤より)

 イーハトーブトライアル運営実行団の皆さまへ
 本日、嬉しい手紙が届きました。去年お目にかかり、「追っかけさん」(お名前も分からず勝手にこうお呼びしていた今年のプログラム《輝く笑顔に会えるから》に掲載の人)に、やっとの思いで今年もお目にかかり、住所をお聞きし去年のお写真をお送りしたことに対してのお手紙でした。ご自分はライダーではありません。しかし毎年ご近所の子供たち、お友達、ご主人方とおそろいのバンダナとTシャツで応援に徹しての参加です。何がここまで?と私はいつも不思議に思うのです。子供にいい経験をさせたいから?お友達といい夏遊びをしたいから?旦那様と趣味が同じ?彼らの二日間の行動を見る時、楽しみながら燃えている心が、何もしていない私どもに伝わり、彼らを見ているだけで感動します。ライダーに対する応援はもちろんのこと、そのシーンを見ている私どもも口では言い表せない心と人間性を学ばされます。
 実行団の方々の数多くのご苦労には例年頭が下がる思いで感謝と感激はしているのですが、こういう表に出ない熱いスタッフもたくさんいることを、どうぞ実行団の皆さまのお力に添えてやって下さい。そして、その見えないスタッフを応援している我々ミーハーも力んでいることを…ちょっぴり付け加えましょう。若々しい、いい笑顔で、岩手はやっぱりイーハトーブ!
 実行団の皆さま、本当にお疲れさまでした。 小山田 勇子

勇子さんは、出光との仲人役である小山田商店社長、小山田繁雄さんの奥さんで、いつも明るい笑顔がチャーミングな方です。

追っかけさんの嬉しい手紙戻る

 前略 高松の池には、冬の使者、白鳥が飛来し、今年の冬が早くきそうな気配です。先日は速達でお写真を送っていただき、大変ありがとうございました。ご配慮、大変嬉しく思っております。
 大イベントイーハトーブトライアルも終わり、私の燃える夏が終わりました。
 たくさんのライダーとお話できたことは、私の宝物として心に残ってます。反省会もしながら、もう来年のイーハトーブに想いを寄せてもおります。このビッグイベントを、名前だけは知っておりましたが、3、4年前に実際目の当たりにして、夏は絶対これだと勝手に決めつけ、近所の有志=バガッコ(万註:馬鹿な子だけどかわいい…という意味)を連れ出し、田山、長者前で水とミニトマト、キャンディをライダーに心を込めてお渡ししております。
 彼、彼女たちのアクティブな姿に来年のここでの逢瀬を約束し、私たちの熱い真夏が終わるのです。古希を迎えたライダートリオとも米寿まで見届けてやると約束しましたので、ずっと見守りたいと思っている、三度目の成人式を迎える私です。今年の匠クンとの記念写真は出来次第お送りします。
 追伸:男心(女心)と秋の空、気まぐれな天気が続きますこの頃です。どうぞご自愛のほど。
 イーハトーブならぬミーハートーブ 渡辺妙子

成田兄弟が準備でも大活躍戻る

 トライアルの要はなんといってもセクションの難易度とレベルに合った面白さがあるかどうかということにつきる。そういう意味で今回の「クラシック」と「ブドリ」のセクションの味付けは良かったでしょ? じつは「クラシック」のセクションは、成田亮君が見習い実行団員として、万澤ともに作ったもので、例年のとおり大会前の月曜から水曜まで二泊して全セクションを作る作業に参加してくれた。それに続く木曜日の「ブドリ」セクション作りでは、実行団員とともに、亮君だけでなく、兄の匠君もいっしょに作ってくれた。どおりで「ブドリ」も手ごたえがあったわけね?今後は、できるだけセクション作りをやりたいという希望もあって、成田兄弟がセクション作りでも大活躍してくれそうだ。文字通り生まれたときからイーハトーブで育った成田兄弟が実行団員として参加してくれることは、この先、本当に楽しみだ。「クラシック」「ブドリ」の参加者は、成田兄弟の仕掛けるワナ(セクション)にはまらないように、みっちり練習してこよう!

田山の観戦セクションが大好評戻る

 「ブドリ」と「ネリ」では、いつもランチでお世話になっている田山ドライブインの裏手にある田山スキー場に、観戦ポイントとしてセクションを十年ぶりぐらいに復活させてもらった。スキー場のリフトの脇にあるちょっとした土手を上り下りするだけの単純なもの…のつもりだったが、加速ラインにある溝などが手ごたえを高め、観客を喜ばせるライダーが続出! 実行団員の報告によれば、80過ぎのおじいちゃんが、実に楽しそうに見ていたのが印象的だったとか。トライアル観戦の楽しみは、うまい人だけでなく、失敗シーンを見ることにもある…という実例。昔の七時雨セクションのように、どうせ失敗するなら観客に喜んでもらえるパフォーマンスを身につけてくる…なんていうのもイーハトーブ参加の楽しみ方。ただし、そのままリタイアしない程度にね。え、昔の七時雨はどうしていたかって? 泥沼で転倒・水没していたんだよ!!

採点の仕方について・その1戻る

 インターネットのイーハトーブ掲示板にもちょっと書いたけど、このごろの採点の仕方のいい加減なこと、目に余るものがある!
 今回の「ブドリ」ではトップ争いをするレベルの人たちが、明らかに停止なのに5点にしなかった例を何人もの人が見ていたのである。別のクラスでも地元の人が「なんだ、まともな採点してないじゃないか」とつぶやくほど、停止即5点にしない人々がたくさんいる! いうまでもなく、トライアルはスポーツであり、ルールの中での競い合いなので、ルールを無視するようなら大会そのものが成立しない。雪解け直後からの長い期間、準備に汗をながしてきた実行団員は、「こういう場面を見ると、じつに空しい気持ちになる」と吐き捨てるように言ったが、本当にそのとおりだ。
 たびたび言うけど、子供たちの三角ベースの野球だって、ファウルをヒットになんかしないぞ!確かに、瞬時の停止でも5点というのは、非常に微妙な場合もあるが、まったくよどみなく出口まで走り抜けた場合だけをクリーンとするのだから、疑わしい場合は自ら5点とするくらいのいさぎよさが必要なのだ。
 ゴルフだって、間違ってクラブが当たってボールが1ミリ動いても、一打とするルールになっているし、少なくとも発祥の地、スコットランドの人々はその信頼の原則を貫くことが誇りなのだ…と何かで読んだことがある。
 イーハトーブトライアルに参加する人たちは、それぞれに時間とお金をやりくりして楽しい時間を過ごしに来ているのだから、見た人が気分悪くなるような採点は絶対にしないでもらいたい。こんなことはしたくないが、イーハトーブトライアルの良好な雰囲気を守るためには、疑惑が集中するような採点をした組に対しては、3人全員について今後の参加を拒否する可能性もある。イーハトーブにはうまいヘタに関係なく、いさぎよいスポーツマン精神をもって参加するように!

採点の仕方について・その2戻る

 わかっている人にはいまさらながらの話しだが、そういうこともいちいち言わないとわからない人が増えているので、知らなかった人はよく覚えて欲しい。
 3人一組で相互に採点…という、イーハトーブトライアルのスタイルは、上記の記事でも述べているように、ゴルフの信頼の原則と同じ考え方である。つまりズルしようと思えばいくらでもできるわけである。でも、それをしたら自分たちがやっていることがつまらなくなるし、他人が気分悪くなるだけなので、そういうことは決してしない、というのが大会の基礎となる信頼の原則なのだ。
 走っている自分自身が採点しようと思えばできなくはないが、一瞬停止したのか、出口ギリギリで足を着いたのか…などという微妙な場合には、やはり他人の目のほうが正確である。そういうわけで、イーハトーブトライアルでは、自己採点ではなく、相互採点という方法がとられているわけで、3人一組もそのための仕組みなのである。だから一人で走る…ということはありえないわけで、仮にあとの二人がリタイヤして一人で走ることになった場合は、他の組にお願いして4人一組という形でトライアルを続けることになる。つまり、自己採点は認めていないから、あくまで他人に採点してもらうことが重要なのである。
 しかし、この数年、なぜか一人で走っている人を見かけることがあったが、これを認めていては大会が成立しない。同様に、同じ組の人が走っているのに、だれもちゃんと採点していないのを目撃したこともたびたびある。
 相互採点では、全員がライダーであると同時にオブザーバーでもあるのだから、キチンとこぶしを上げて、1点、5点と、他人が見てもちゃんと採点内容がわかるようにやるのがあたりまえなのである! 来年から、これをキチンとしていない組はそれだけで疑惑の対象にしちゃうぞ!!トライアルの楽しみの元はルールにあるのだから、くれぐれもキリッとした採点をしてもらいたい。

参加するための心構えをもう一度戻る

 イーハトーブトライアルは、トライアルをしながら観光もするという意味で“スポーツ観光”を名乗っているが、「ネリ」や「ヒームカ」だって一応トライアルをやっているわけだから、ヘタはヘタなりにできるかぎりマシンを整備し、腕を磨き、トラブルやケガで他人に迷惑をかけない心構えで参加するのはあたりまえのこと。なのに、バンク修理道具や工具を携行するようにと、規則書に書いてあるにもかかわらず、実際にはもっていない組もあった。
 昨年のイーハトーブ新聞に書いたが、スタート後わずか25kmあたりでガス欠していた参加者がいた。つまりスタートするときに満タンにしていなかったのだ。いくら「ヒームカ」でも、海までは片道130kmぐらい走るのだから、
 伸びたパンツのゴムみたいにたるんだ気分で来ないでもらいたい!
 全日本選手権トライアルとはちがって、イーハトーブには特別な競技ライセンスは要らない。でも、スポーツマン精神をもって、他人と腕を競い合うために来ているのだという、トライアルライダーとして最低限の自立精神だけは絶対に忘れないでくれ! 「だれかが助けてくれるだろう」と、初めから他人をあてにしてくるようじゃ、イーハトーブに参加する資格はないぞ。この大会はみんなのためにある…のではなく、大会の存続に協力してくれるトライアルライダーたちのためにあるのだから。

ごはんの味はいかがかな?戻る

 今回は「オッペル」が加わって5クラスになったイーハトーブトライアルだが、ふだん人口の少ない岩手では、まとまった人数が食事できる場所などあるわけもなく、昼食場所にはいろいろ無理をお願いしている。
 「オッペル」の場合は、出光葛巻SSとなりの「フードショップコンドウ」の近藤社長に無理を言って、実行団員がいつも食べている特製イーハトーブ弁当を作ってもらったが、お弁当代だけの利益しかないのに、大型テントに40名分ものイスとテーブルを用意してくださって、本当に頭がさがる思いだった。
 同じように「ヒームカ」も、始まった当初から安家元村の直売所スペースをお借りして、お昼のメニューも地元の方々の手作り料理をたっぷり出していただいている。「ネリ」、「ブドリ」はいわずと知れた田山ドライブインのきのこラーメンで決まりだ。
 「クラシック」は、袖山レストハウスができる前から、長年にわたり畜産開発公社のトラクター格納庫でカレーライスを出してもらっていた。それがそのまま袖山レストハウスのメニューになっているという歴史的いきさつがある。
 それはそうと、食いしん坊の万澤としてはそれぞれの昼食の味が満足のいくものかどうかが気になっているが、少しでも改善してうまくしていきたいので、インターネット環境のある人は「出光イーハトーブトライアル」と文字検索でホームページが出たら、掲示板に昼食の感想を書き込んでもらいたい。

 じつは今回、「ヒームカ」の昼食の鳥から揚げがイマイチだったので、来年はその技術指導を万澤が引き受けることにしてきた! 「ヒームカ」の皆さん、来年のから揚げの味をお楽しみに!

森林管理署と警察署などの手続き戻る

 毎年のことながら、大会が始まる前に、すべてのクラスのコース図(大型!)10枚をもって、家村実行団長が岩手警察署に道路許可申請に行く。モータースポーツイベントで道路使用許可が下りることは、全国的にも非常に珍しく、長い無事故実績のおかげで岩手県警もこの大会だけは許可しているとのこと。さらにコース上の林道区間の地図などをもって、盛岡森林管理署に、実行団長、あるいは事務局の斉藤さんが行く。そこで総延長距離と参加台数をかけた林道使用料金を払い込む。大会が終わると、両方に「無事に終わりました」と書面をもって報告に行く。この他、コースはいくつもの私有地を通り抜けるので、大会前にはたくさんの地主の家を一軒一軒、たずねてはお酒などをおいて使用許可をもらって歩いている。こういう地味な手続きがあって、大会が開催できるのだということも知っておいて欲しい。だから、前にもたびたび言ったが、大会に出ないで勝手にコースを走るようなことは、大会存続を危うくする行為なので、絶対しないように!(した人は、マムシ穴に入れちゃうからね!)

 これまで、こうして大会開催に協力してくれた大勢の人々の期待に応えるためにも、今後も無事故で回をかさねていこうではないか。

出光十五周年大会に感謝!戻る

 すでに大会プログラムで紹介したとおり、この大会の冠協賛を15年も続けてくれている出光興産株式会社に対しては、参加者のみなさんも特別なイメージを持っているはず。万澤をはじめ、実行団員全員が出光SSでしか給油しないし、オイルも当然出光ゼプロ!というわけで、参加者のみなさんも、できるだけ出光SSを利用して、日本のトライアル界を支えてくれている出光の厚意に応えてもらえれば幸いだ。ちなみに石油関係だけでなく、農業資材なんかも手がけているので、一度は出光ホームページを見てほしい。もちろん、出光イーハトーブトライアルの紹介ページも、メセナ(社会貢献)活動というページに、「出光美術館」「題名のない音楽会」などと並んで載っている。社員も多数参加している出光の社風が、特別に素晴らしいことが、ここを見ればよくわかるはず。あらためて、出光さんに感謝!

編 集 後 記戻る

 今回は万澤の「注文の多いトライアル」になってしまったが、その心は、単に世界一参加人数が多いだけでなく、世界一雰囲気の良いトライアルが日本の岩手にあることを自慢したいからである。そういうことは自然にできるのではなく、みんなで作り上げるから存在する。たとえば来年のイーハトーブでは、みんなが輝く笑顔で「おはよう!」「こんにちは!」とあいさつできるようになっていてほしい。いまの日本にはあいさつが欠けすぎているから…。じゃ、みんな、また来年、元気な笑顔で会おう!